生物多様性あれこれVol.1:絶滅危惧種は本当に貴重なのか?

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生物多様性あれこれ 〜Vol.1:絶滅危惧種は本当に貴重なのか?〜

購読者の皆様こんにちは、エコ・リーグ/生物多様性わかものネットワークの篠原と申します。
普段は環境コンサルティング会社で生物調査の仕事を行っています。
今回から、環境問題の1つである「生物多様性」というテーマを題材としたトピックを紹介していきます。

―絶滅危惧種とは?―

一度は聞いたことがあるであろう「絶滅危惧種」という言葉。
世の中にたくさんいる生物の中でも絶滅する可能性が高い種をまとめて指す言葉です。
どんな種がいるのか、どうやって絶滅危惧種を定義しているのか。
詳しくは以下のサイト等に紹介されていますので是非ご覧ください。
WWF「レッドリストについて」→http://www.wwf.or.jp/activities/wildlife/cat1014/cat1085/

―絶滅危惧種は本当に貴重なのか、実際に観察して感じてみよう―

さて絶滅危惧種がどの程度貴重なのかということについては、実感がわかない人が多いのではないでしょうか。
そもそも数が少ない種が絶滅危惧種と呼ばれているので見たことがない・知らない人がほとんどです。
「よく知らないのに数が多い少ないと言われても・・・」という人が多いと思います。
それならば一度観察してみるのが早い。百聞は一見にしかずです。

ということで早速行ってみました、アフリカの大草原!

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ということはなく(筆者は一度も海外行ったことありません)、栃木県は渡良瀬遊水地という場所です。
利根川の上流に位置し、2012年にラムサール条約に登録された本州最大の湿地です。
ここにはどんな絶滅危惧種がいるのでしょうか・・・

と思ったら早速足元に!

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これはトネハナヤスリというシダの仲間です。
環境省レッドリストカテゴリーVU(絶滅危惧Ⅱ類)という絶滅危惧種です。
これはラッキーだな!と思い周囲を見回してみたら・・・

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やたら多い・・・というか足の踏み場がない・・・
他にもこんな種がいました。

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ハナムグラ(カテゴリーVU)・エキサイゼリ(カテゴリーNT)・ヌマアゼスゲ(カテゴリーVU)
ゴマノハグサ(カテゴリーVU)・ノウルシ(カテゴリーNT)・ノカラマツ(カテゴリーVU)・・・
あげたらきりがありません。

こんなにたくさんいるなら絶滅危惧種ではないじゃないですか!

では他の場所ではどうでしょうか?足の踏み場もなかったあのトネハナヤスリは?

実は利根川と淀川の一部でしか観察することができません。

他の種も観察できる場所は少ないです。どうやら絶滅危惧種といっても場所によってはそう感じない種もありそうですね。
もちろん本当に貴重だと感じる種もいます。
渡良瀬遊水地で観察できるシムラニンジンという種はこの場所に100個体程度しかいない種といわれています。
筆者も4年目でやっと観察できました。

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―絶滅危惧種が貴重だと感じることができるのか―

おそらく全国で生き物を観察し回っている人は絶滅危惧種の貴重性を感じることができると思いますが、
そこまでやっている人は多くないです。そのため絶滅危惧種が貴重だという実感がわきにくいかもしれません。
ですが一度も絶滅危惧種を見たことがない!という人は、まず一度お宝探しの気分で探してみてはいかがでしょうか。
その後家の周りや旅行先でちらっと緑のある所を見た時に、この前観察した種がいないなぁと思ったら、
絶滅危惧種のことが少しわかってくるかもしれません。

以上、「生物多様性あれこれ 〜Vol.1:絶滅危惧種は本当に貴重なのか?〜」でした。
次回をお楽しみに!

執筆・写真:篠原 光礎(NPO法人エコ・リーグ/生物多様性わかものネットワーク)

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